離島医療の光と影

沖縄の医療を考える上で決して無視できない“離島の医療”について考えてみたいと思います。

意外にも医療設備は整っている?!

離島医療の実情離島とはいえ、病院によっては充分な医療設備が揃う時代になってきました。

例えば、石垣島の八重山病院では血管造影・全身CT・超音波診断装置といった一通りの設備が揃っています。

脳外科手術・がんの摘出手術など、込み入った手術が行われることも珍しくありません。

“離島の診療所では聴診器しか持っていないような医師が細々と患者を診ている”といったイメージは、もう随分と昔の話になっているのです。

また、本島や本土の病院と提携して救急ヘリを運用する離島病院も増えてきました。

島の病院では解決できない手術を要する大病の患者は、このヘリで提携している大病院へ搬送されるのです。もともと連携をとっている病院なので、連絡もスムーズです。

人材・人手不足は今もなお深刻!

医療設備が整っている・本島との連携が取られるようになったという明るいな話題がある一方で、やはり離島であるがゆえの深刻な問題があるのも確かです。

人口の多い島にある病院ならともかく、そうでない島にある病院では多数の医師を雇うことが出来ません。とてもではありませんが、全ての診療科目の医師を揃えることなど出来ないのです。

また、離島の医師は本土で行われる学会に参加することがなかなか出来ないため、自己研鑽の機会が乏しいと言わざるを得ません。

人材不足に加え、人材を磨く機会も限られている離島は、
やはり決して恵まれた環境とはいえないのです。

離島では用意できる人材が限られますが、発生する可能性がある病気の種類は本土と変わりません。限られた人材であらゆる病気に対処しなければならない離島の医療機関は、やはりギリギリの対応を迫られることも多いです。

もちろん、離島へのサポートは徐々に進んでおり、今ではインターネットを利用して本土の医療機関が診断・治療の支援を行えるようにもなっています。

ですが、やはり本土と同様の医療が提供できるというわけではありません。

離島医療の課題は、まだまだ多いのです。